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薄毛は亜鉛で克服できるの?医学と科学にもとづき正しい亜鉛との付き合い方を解説

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薄毛は亜鉛で克服できる?亜鉛と髪の関係を医師が医学・研究データにもとづき解説。亜鉛は細胞分裂に欠かせず髪の成長に関わりますが、「飲めば必ず治る」わけではなく、効果が期待できるのは主に亜鉛が不足している人。脱毛症との研究結果、鉄・ビタミンD・セレン・葉酸の関与、過剰摂取の注意まで中立にまとめました。

この記事の監修医 山本光宏 やまもと形成外科クリニック/日本形成外科専門医 形成外科 美容医療 プロフィールを見る

執筆:ハゲとEDの診察室 編集部(現役医師) / 最終更新:2026年6月

この記事のポイント 亜鉛は細胞分裂(DNA・タンパク質合成)に欠かせず、髪の成長にも関わる。日本人は不足しやすい栄養素。脱毛症の人は血中亜鉛が低い傾向があり、亜鉛が欠乏した人では補充で改善した小規模報告もある。ただし「亜鉛を飲めば必ず薄毛が治る」わけではない。効果が期待できるのは主に亜鉛が不足している人。鉄・ビタミンD・セレン・葉酸なども脱毛と関連の報告あり。ビタミンAは過剰摂取でかえって脱毛も。バランスよく。

「亜鉛をとると髪によい」とよく耳にしますが、亜鉛で薄毛は本当に克服できるのでしょうか。亜鉛が関わるのは確かでも、『亜鉛さえ摂れば薄毛が治る』わけではありません。この記事では、亜鉛と髪の関係を、医学と研究データにもとづいて整理します。

食べ物全般から知りたい方は →薄毛を治す食べ物はある?食べ物と薄毛の関係を医師が解説

亜鉛と髪の毛の関係をエビデンスにもとづき解説

300種以上の酵素・DNA合成→作り変わりの速い組織(皮膚・髪・爪)で重要
図:亜鉛の働きと髪の毛

亜鉛は身体の中でどのように働いているのか

人間の体は、絶えず細胞が作り変えられることで維持されています。亜鉛はその過程に欠かせない栄養素で、体内で300種類以上の酵素の働きを支えています。とくにDNAやRNAの合成、つまり細胞分裂・増殖に深く関わるのが特徴です[2]

このため亜鉛は、皮膚や髪、爪、粘膜など、細胞の新陳代謝が活発な部分で重要な役割を担います。 逆に不足すると、脱毛・皮膚炎・創傷治癒の遅れ(傷が治りにくい)といった症状が現れることがあります。[1][2] 臨床現場でも、味覚障害や皮膚トラブルの原因として亜鉛欠乏が疑われ、補充治療が行われることは少なくありません。

なお、「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では亜鉛の推奨量は成人男性で9.0〜9.5mg/日、女性で7.0〜8.0mg/日とされていますが、多くの年代でこれを下回ると報告されています[3]。つまり亜鉛は、日本人にとって不足しやすい栄養素のひとつといえます。

亜鉛は髪の毛にどのように働くのか

髪は、毛根にある毛母細胞が分裂・増殖することで伸びていきます。この過程にはDNA合成やタンパク質合成が不可欠で、そこに亜鉛が関与するとされます。そのため亜鉛が不足すると細胞の増殖がうまくいかず、髪の成長が遅くなったり、細く弱くなったりすることがあります。[6] 実際、亜鉛欠乏症の症状の一つに脱毛があり、髪と亜鉛が関係していることがわかります。

検証|亜鉛で薄毛は克服できるのか

血中亜鉛が低い傾向/欠乏した人で補充の改善報告/必ず効くとはいえない
図:亜鉛と薄毛|研究でわかっていること

亜鉛と薄毛に関する論文を解説

亜鉛と脱毛症に関する報告はいくつかあります。まず2013年の研究では、脱毛症の患者312名と健常者30名で血清亜鉛を比較したところ、脱毛症の患者のほうが有意に低い値でした(84.3μg/dL 対 97.9μg/dL)[4]

また、亜鉛が欠乏した円形脱毛症の患者15名に3か月間、亜鉛製剤を補充した研究では、血清亜鉛が56.9μg/dLから84.5μg/dLに上昇し、15名中9名(約67%)で脱毛症の改善がみられました。[5] ただしこの研究は対象が非常に少なく、比較対照を置いた試験でもないため、改善は統計的に有意な差ではなく、『確実に効果がある』と断言できるものではありません

結論|亜鉛で薄毛は改善する可能性がある(ただし亜鉛が欠乏している人)

亜鉛と髪の関係は、体の仕組みのうえでも、実際のデータのうえでも関連があるようです。亜鉛が欠乏している人では、亜鉛の補充で薄毛が改善する可能性が文献上あります。ただし、薄毛は亜鉛欠乏以外が原因のことも多く、亜鉛を飲めば必ず薄毛が治るとはいえません

亜鉛以外にもある?薄毛を改善できる可能性がある成分

鉄・ビタミンD・セレン・葉酸の役割と研究
図:亜鉛以外で脱毛と関連が報告される栄養素

鉄が不足すると貧血になることはよく知られています。脱毛との関連も調べられており、休止期脱毛症・男性型脱毛症・円形脱毛症などの患者で血中の鉄が低いとする報告があります。一方で関連はないとする報告も多く、確定的な結論は出ていません[8]

ビタミンD

ビタミンDは日光に当たることで体内で合成され、骨粗鬆症の治療にも使われます。脱毛との関連も報告があり、休止期脱毛症や女性型脱毛症では、脱毛症のある患者80名と脱毛症のない40名を比較した研究で、脱毛症がある人のほうが有意に低値でした[7]。ただし報告数が少ないため、参考程度に考えるのがよいでしょう。

セレン

セレンは土壌・水・食品に含まれる微量ミネラルで、甲状腺ホルモンの活性化や抗酸化作用が知られています。脱毛症の患者で低いとする報告も、差がなかったとする報告もあります。[8] セレンは、過不足なく摂ることが大切です。

葉酸

葉酸は赤血球の形成に必要で、不足すると貧血を起こします。妊娠初期の欠乏は胎児の先天異常(二分脊椎症など)のリスクを高めることでも知られます。小規模な研究ですが、脱毛のある人で赤血球中の葉酸が不足していたとの報告もあります[8]

まとめ|亜鉛は『下支え』。基本はバランスのよい食事

亜鉛は欠乏した人で可能性・他の栄養素も関連・ビタミンA過剰は逆効果・バランスよく
図:薄毛と亜鉛のまとめ

ビタミンA・ビタミンC・タンパク質・銅など、さまざまな栄養素が脱毛と関連するとの報告があります。[6] 一方で、ビタミンAは過剰摂取によってかえって脱毛を起こすことが知られています。[6]

亜鉛をはじめとする栄養は、髪の健康を支える大切な要素です。ただし『これさえ摂れば生える』という特効成分はありません。サプリでの過剰摂取には十分注意しつつ、いろいろな食べ物からバランスよく栄養をとることを心がけましょう。薄毛が気になる場合は、食事に加えて医療機関への相談も検討してください。

AGAとは(基礎)AGAの薬薄毛を治す食べ物

出典一覧

  1. 日本皮膚科学会. 皮膚科Q&A(亜鉛と脱毛). https://qa.dermatol.or.jp/qa11/q01.html
  2. 日本臨床栄養学会(編). 亜鉛欠乏症の診療指針2024. https://www.jscn.gr.jp/pdf/aen2024.pdf
  3. 厚生労働省. 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書. https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html
  4. Kil MS, Kim CW, Kim SS. Analysis of serum zinc and copper concentrations in hair loss. Ann Dermatol. 2013;25(4):405-409. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24371385/
  5. Park H, Kim CW, Kim SS, Park CW. The therapeutic effect and the changed serum zinc level after zinc supplementation in alopecia areata patients who had a low serum zinc level. Ann Dermatol. 2009;21(2):142-146. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20523772/
  6. Guo EL, Katta R. Diet and hair loss: effects of nutrient deficiency and supplement use. Dermatol Pract Concept. 2017;7(1):1-10. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28243487/
  7. Rasheed H, Mahgoub D, Hegazy R, et al. Serum ferritin and vitamin D in female hair loss: do they play a role? Skin Pharmacol Physiol. 2013;26(2):101-107. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23428658/
  8. Thompson JM, Mirza MA, Park MK, Qureshi AA, Cho E. The Role of Micronutrients in Alopecia Areata: A Review. Am J Clin Dermatol. 2017;18(5):663-679. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28508256/
この記事の監修医 山本光宏 やまもと形成外科クリニック/日本形成外科専門医

※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、特定の診断・治療・医薬品を推奨するものではありません。効果には個人差があり、症状や治療についての判断は必ず医師にご相談ください。

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